ジョージ・オーウェル『1984年』を読んで
はじめまして。残念ながら、以前から運営していたブログサイトが跡形もなくデータと共に消え去ってしまい、新たにブログを開設しました。どうぞ、よろしくお願いします。
さて、記念すべき最初の投稿は、ブログの開設前に読み終わったジョージ・オーウェルの『1984年』について紹介したいと思います。
まずは、ジョージ・オーウェルについての簡単な説明。ジョージ・オーウェルは本名をエリック・アーサー・ブレアといい、現在のイギリス領インドで生まれた作家でした。オーウェルというペンネームはイギリスを流れる川・オーウェル川に由来しているとされますが、定かではありません。代表作にディストピア小説『1984年』や『動物農場』、スペイン内戦を取材した『カタロニア讃歌』などがあります。
まずは、ジョージ・オーウェルについての簡単な説明。ジョージ・オーウェルは本名をエリック・アーサー・ブレアといい、現在のイギリス領インドで生まれた作家でした。オーウェルというペンネームはイギリスを流れる川・オーウェル川に由来しているとされますが、定かではありません。代表作にディストピア小説『1984年』や『動物農場』、スペイン内戦を取材した『カタロニア讃歌』などがあります。
2016年にドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を退けてアメリカの大統領に就任すると、アメリカ国内のアマゾンで売り上げランキングが1位を記録したことや、北朝鮮の国家を遠回しに表現する際、引き合いに出されることでお馴染みの『1984年』。
少し前ですと、村上春樹氏の小説『1Q84』の題名のモチーフとなったことでも注目を集めていましたね。
日本では2009年に新庄哲夫氏から変わり、高橋和久氏による新訳が早川書房(ハヤカワepi文庫)より刊行されていますが、今回私が読んだ『1984年』は高橋氏による新訳の方でした。
実は随分と昔に新庄氏の訳で『1984年』を読んだことがありましたが、当時は浅学菲才の身であったため、内容をうまく理解することができず、結局何が何だか分からないまま読み終えてしまったことがありました。残念ながら今回も、充分に内容を汲み取ることができたか心配ではありますが、私なりに感想を書いてみたいと思います。
感想を書く前に、私は『1984年』を再読するにあたって、核P-MODELというテクノバンドが不意に頭をよぎりました。
勘の鋭い方はお分かりかと思いますが、核P-MODEL(ミュージシャン・平沢進氏がリーダーを務めるソロプロジェクト)は2004年に『Big Brother』という楽曲をリリースしており、これは説明するまでもなく『1984年』の世界観で、オセアニアの頂点に君臨するとされる偉大なる支配者・ビッグブラザーのことを指しています。
馬の骨(平沢進のファンの呼び方)の方々には説明が不要かとは思いますが、この『Big Brother』には、「享受せよさあ思慮は今罪と知るべし」や「見えないブラザーが保護者のようにキミを見る」など、『1984年』の内容を髣髴とさせる歌詞が登場し、既に『1984年』を読まれていたファンの皆さんは、おそらく口元がニヤリとしたことでしょう。
『1984年』の主人公であるウィンストン・スミスや、人民の敵であるエマニュエル・ゴールドスタインといった人名は歌詞に登場しませんが、『Big Brother』を聴くだけで『1984年』の大まかな世界観が分かると思いますので、動画のリンクを掲載しておきますね。
いかがでしたでしょうか。余談になりますが、イントロ部分がゲーム『ポケットモンスター』に登場するドードリオの鳴き声に似ていると思うのは私だけでしょうか…。
本当に雑に説明すると「ビッグブラザーはあなたを見守っているんだよ」みたいな歌詞ですね。尤も、平沢進氏の歌詞は難解で理解することが大変ですが…。しかし、比較的『Big Brother』は解釈しやすいかなと個人的には思っております。
随分と脱線してしまいましたので、話を本筋に戻します。
主人公のウィンストン・スミスは党局員として記憶の改竄を行う仕事に就いています。作中でビッグブラザーは何でも知っている全知全能の神としてオセアニアを支配していますが、ウィンストンはある時、ビッグブラザーは完璧ではないと考えてしまいます。
そんな中、ジュリアという同じく党局員から告白され、テレスクリーン(オセアニアの住民を監視するテレビのようなもの)の目を盗んでは「思考犯罪」に手を染めるようになります。
やがてオブライエンという党中枢に位置し、ビッグブラザーの次くらいに地位が高い高級官僚との間で秘密結社「ブラザー同盟」の加入が決まり、ウィンストンとジュリアは更に「思考犯罪」を続けました。
ある時、チャリントンという老人の皮を被った工作員(?)に告発され、ウィンストンとジュリアは逮捕されてしまいます。2人は別々となり、ウィンストンは監獄に収容されると、そこにオブライエンが登場しました。オブライエンはウィンストンの保護者であり、裏切り者でもあったのでした。
物語はクライマックスに入り、ウィンストンは101号室という恐ろしい部屋に連行され、オブライエンから洗脳を受けます。『1984年』を代表する文句「2+2=5」のシーンは、読了後も非常に強い印象を与えますね。
ウィンストンは見事にオブライエンによって洗脳されてしまいます。ウィンストンは思考犯罪を犯した罪で、いつかは射殺されることを思い描きながら、ビッグブラザーを全知全能の神として崇め、気がつくと無意識にビッグブラザーを愛するようになっているのでした。
一見、この小説はウィンストンが洗脳されて一人の「真面目な」人物と「更生」されるバッドエンドとなっていますが、付録を頭を柔らかくして読んでみると、付録の言語って実は、オセアニアで使用が推奨されていたニュースピークではなく、オールドスピークで書かれているところが特筆すべき点となっています。
これは作中の1984年よりずっと後にオセアニアが崩壊する未来を「過去にニュースピークといった言語が存在した」という体裁で書かれている文書で、ウィンストンの時代で考えるとバッドエンドですが、遠い未来にハッピーエンド(?)を迎えることになっています。
さて、しかし、ビッグブラザー体制が崩壊して、それは果たしてハッピーエンドなのでしょうか。
私がもし何も知らずにオセアニアに住んでいるとしたら、確かにビッグブラザーの統治下は禁止されている行為が多く、カリギュラ効果ではないのですが、思考犯罪に手を染めてしまうかもしれません。ある時、思考犯罪を犯した私は社会から抹殺され、監獄に閉じ込められて、罪が多いと101号室に連れて行かれます。おそらく、むごい仕打ちを受けることになりそうですが、洗脳を受けるとビッグブラザーの忠実な市民となっている…。
私は、変に体制を壊して新しい基礎を作り直すより、敷かれたレールを進んでいた方が確実で、「幸せ」だと思いました。もしかして、私は既に「二重思考」で頭が混乱しているのかもしれません。「いや、これが正しいのです」。
皆さんは、どうお考えになりますか?
本当に雑に説明すると「ビッグブラザーはあなたを見守っているんだよ」みたいな歌詞ですね。尤も、平沢進氏の歌詞は難解で理解することが大変ですが…。しかし、比較的『Big Brother』は解釈しやすいかなと個人的には思っております。
随分と脱線してしまいましたので、話を本筋に戻します。
主人公のウィンストン・スミスは党局員として記憶の改竄を行う仕事に就いています。作中でビッグブラザーは何でも知っている全知全能の神としてオセアニアを支配していますが、ウィンストンはある時、ビッグブラザーは完璧ではないと考えてしまいます。
そんな中、ジュリアという同じく党局員から告白され、テレスクリーン(オセアニアの住民を監視するテレビのようなもの)の目を盗んでは「思考犯罪」に手を染めるようになります。
やがてオブライエンという党中枢に位置し、ビッグブラザーの次くらいに地位が高い高級官僚との間で秘密結社「ブラザー同盟」の加入が決まり、ウィンストンとジュリアは更に「思考犯罪」を続けました。
ある時、チャリントンという老人の皮を被った工作員(?)に告発され、ウィンストンとジュリアは逮捕されてしまいます。2人は別々となり、ウィンストンは監獄に収容されると、そこにオブライエンが登場しました。オブライエンはウィンストンの保護者であり、裏切り者でもあったのでした。
物語はクライマックスに入り、ウィンストンは101号室という恐ろしい部屋に連行され、オブライエンから洗脳を受けます。『1984年』を代表する文句「2+2=5」のシーンは、読了後も非常に強い印象を与えますね。
ウィンストンは見事にオブライエンによって洗脳されてしまいます。ウィンストンは思考犯罪を犯した罪で、いつかは射殺されることを思い描きながら、ビッグブラザーを全知全能の神として崇め、気がつくと無意識にビッグブラザーを愛するようになっているのでした。
一見、この小説はウィンストンが洗脳されて一人の「真面目な」人物と「更生」されるバッドエンドとなっていますが、付録を頭を柔らかくして読んでみると、付録の言語って実は、オセアニアで使用が推奨されていたニュースピークではなく、オールドスピークで書かれているところが特筆すべき点となっています。
これは作中の1984年よりずっと後にオセアニアが崩壊する未来を「過去にニュースピークといった言語が存在した」という体裁で書かれている文書で、ウィンストンの時代で考えるとバッドエンドですが、遠い未来にハッピーエンド(?)を迎えることになっています。
さて、しかし、ビッグブラザー体制が崩壊して、それは果たしてハッピーエンドなのでしょうか。
私がもし何も知らずにオセアニアに住んでいるとしたら、確かにビッグブラザーの統治下は禁止されている行為が多く、カリギュラ効果ではないのですが、思考犯罪に手を染めてしまうかもしれません。ある時、思考犯罪を犯した私は社会から抹殺され、監獄に閉じ込められて、罪が多いと101号室に連れて行かれます。おそらく、むごい仕打ちを受けることになりそうですが、洗脳を受けるとビッグブラザーの忠実な市民となっている…。
私は、変に体制を壊して新しい基礎を作り直すより、敷かれたレールを進んでいた方が確実で、「幸せ」だと思いました。もしかして、私は既に「二重思考」で頭が混乱しているのかもしれません。「いや、これが正しいのです」。
皆さんは、どうお考えになりますか?
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